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放射能基礎統計学

放射線と正規分布


放射性元素の崩壊数のばらつきはどうであろうか。0.5ベクレルの放射能を持つ放射線源があるとすれば,ある1秒間に崩壊する確率は50%であるから,1分間で見ると60回コインを投げた場合と同じように2項分布と考えることはできないだろうか?結論から言うと,実際そうはならない。0.5ベクレルの放射線源の1分間の崩壊数のばらつきを近似したグラフは次のようになる。

Graphics:0.5ベクレルの放射線源の1分間の崩壊数

実際の崩壊数は,先に示したコインのグラフと見比べると若干なだらかになっていることが分かる。放射性元素の崩壊の場合は,1秒間に2回崩壊する場合もあるので崩壊するかしないかだけで判定するとどこかで必ず数え落としが出てしまう。1秒間ではサンプル周期が長すぎるので,もっと短く10分の1秒にしたらどうか。この場合は,100ミリ秒あたりの崩壊確率は20分の1だから,1分間で正20面体のサイコロを600回振って1が出たか出なかったかの二項分布に相当すると考える考えてみる。

Graphics:20面のサイコロを600回振って1が出る回数

サンプリング時間1秒の時よりも,実際の分布に形が近づいている。このように,サンプリング間隔を100分の1・・1000分の1・・・と際限なく細かくしていけば,真の0.5ベクレルの分布に近づいていくと考えられる。サンプリング数を極限で考えると,試行回数は無限回で,事象の発生確率は0である。この2項分布の極限はポアソン分布と呼ばれる。

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