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計 測 学

線種とガイガーカウンター

放射線の線種はα線,β線,γ線,中性子線があるがこのうち一般的な雲母窓型のガイガーカウンターで主に計測できるのはβ線である。ガンマ線を計り込むことは少なく,測定に及ぼす影響は1%程度と思われる。

計数効率

1ベクレルは1dps(崩壊毎秒)に等しく,60dpm(崩壊毎分)である。 崩壊率dpmに対する計数率cpmの比を計数効率と呼ぶ。1ベクレルの放射能を持つ線源を計測した場合,計数効率が100%とするとバックグラウンドを差引いた計数率は60cpmとなるが,実際そうはならない。いろいろな要因が計測に影響を及ぼすからである。

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GM管と線源の距離と,GM管の内径によって幾何学的効率は決まる。β線は四方八方にランダムに飛ぶので,線源を点線源と仮定した場合に,GM管内部に入射するβ線の数は線源からGM管の端までを半径とした球状の領域の表面積と,GM管内部に入り込んだコンタクトレンズ状の領域の表面積の比に等しい。

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四方八方に飛び散ったβ線の一部は,試料の支持板に当たって,跳ね返ってくる。これを後方散乱と呼ぶ。跳ね返るβ線の割合は,支持板(散乱体)の材質や厚さ,線源の核種によって変わる。散乱体の原子番号が大きいほど,散乱体が厚くなるほど影響が大きい。また,β線のエネルギーが高いほど影響が大きい。

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β線の一部は線源とGM管の間の空気層や,GM管の雲母膜に吸収されてしまう。GM管の雲母膜が厚いほど吸収される割合も高く,線源の核種によっても影響が異なる。β線の持つエネルギーが低いほど吸収される割合も高い。硬β線の場合は,空気層による影響はほぼ無視できる。

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試料の質量が大きい場合,試料自身がβ線を吸収してしまう。β線の持つエネルギーが低いほど吸収される割合も高い。試料の質量が大きくなると計数効率に大きな影響を及ぼす。

機器効率

放射線量が高くなるとガイガーカウンターの分解性能による数え落としが発生する。

相対測定と絶対測定

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測定条件を同一にして,放射線量がはっきりしている既知の線源から未知の線源の放射能を割り出す。条件を同一にするために,基準線源はなるべく検出が予想されるβ線エネルギーに近い核種を選ぶ。試料の質量が大きくなるとβ線エネルギーの違いによる影響が大きくなり,大きな誤差が発生する。

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どの核種がどの程度の計数効率になるかを把握していて,測定対象試料の核種をある程度特定出来る場合は,絶対測定によって精度を高めることができる。相対測定にも言えることだが,予測作用素が多いため,使い方を誤ると危険である。

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